相続になるか、それとも「争続」になるか?

遺産の相続には、骨肉の争いが繰り広げられるといいます。

以前私が住んでいた地域は地主さんが多く、よく立ち話させてもらったお向かいのおじいちゃんも、そのうちのひとりでした。

「あの土地もその土地も、みーんな俺の・・・・・・親父からもらったもの」

という感じで、代々受け継がれてきている土地だそうです。

そのおじいちゃんとお話ししていた中で、忘れられない言葉があります。

「財産なんて遺すもんじゃないよ・・・」

はて、なんで???
財産があるのはいいことじゃないか・・・!?

その当時、私はわけもわからず首をかしげました。

わからないながらも話を聞くと、実は、おじいちゃんの弟さんが数か月前に亡くなり、弟さんの息子さんと娘さん(おじいちゃんの甥っ子、姪っ子)が、遺産をめぐって、見るに堪えない争いをしていたのだそうです。


遺産というのは、おじいちゃんのお父さんである先代から、兄弟それぞれに分けてもらい、大事に大事に守ってきた土地でした。

おじいちゃんはあちこちに土地を持っている地主さんでしたが、弟さんもまた地主さんだったので、その土地をどのように分けるかで争っていたのです。

中にはマンションもあったのですが、そんな空気が伝染しているのか、空いている部屋、いわゆる空室が増えてきていたとのこと。

おじいちゃんは、

「まぁ、○○不動産とは昔からの付き合いだから、俺も弟も、そこに全部まかせてるんだけどね」

と、今思えば、とても楽観的なことを言っていましたが、やはり心配してはいるようでした。

そのうえ、甥っ子さんや姪っ子さんが、入れ替わり立ち替わりやってきて、

「伯父さん、あいつをどうにかしてよ!」
「兄さんに何とか言ってやって!」

と喧々ごうごうとまくし立てていくものですからたまりません。

そんなところに、大手から中小の建設会社営業マンが、

「相続税対策になるし、あの土地に新しくアパートを建てませんか?」

とやってくるので、ほとほと疲れてしまったとのことでした。

そのとき、

「仲の良かった兄弟が争ったってね、残った財産なんか、みーんな税金で持ってかれちゃうんだよ」
もう馬鹿らしくってね、と言いながら、ハハハと乾いた笑い声を立てていたのを、今でも思い出します。

さて、国民たるもの、税金は納めなければなりませんが、先祖代々大切に守ってきた資産がなくなってしまうのは、どうにも腑に落ちないのではないでしょうか。

しかしながら、知識さえあればこれらのことは間違いなく防げることなのですね。

今の日本にある恐ろしい仕組み“富の再分配”。

その意味とカラクリさえ知ってしまえば、大事な資産を守れるのです。

まずは、相続の仕組みから勉強してみるのはいかがでしょうか。